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ロレックスが採用している904Lステンレスとは!

更新日:2018.03.17

腕時計の素材で最もポピュラーな素材、ステンレススチール

ステンレスは英語で「Stainless Steel」(略してSS)と言いますが、直訳すると「さびない鉄」です。
台所など身の回りで非常に多くみかける素材のひとつですが、ステンレスは一般に鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金です。鉄にクロムを添加すると、クロムが酸素と結合して鋼の表面に薄い保護被膜(不動態皮膜)を生成し、これがさびの進行を防ぐのです。
日常生活で最もよく見かけるステンレスは「304」というタイプで、その用途は広範囲にわたっており、家庭用品、自動車部品、建築資材、工業プラントなどにも使われており、比較的安価に調達できる素材です。
また添加する素材や分量を変えることで強度や耐食性、加工のしやすさなどに違いをもたせた高機能ステンレス鋼が製造されていますが、その種類はじつに100種類以上あるそうで、腕時計にはデザインや機能に合わせて様々なものが使われているようです。
一般的なステンレス鋼に比べて冶金や製造要件の面で高い技術力が要求されるものもあり、高価な素材となります。

一流メーカーのステンレスは「316L」

ブライトリングやパネライ、パテックフィリップといった一流メーカーは、先述の「304」にMo(モリブデン)を加えて、さらに炭素量を0.03%以下にまで抑えて耐食性を強化した「316L」というタイプのステンレスを使っており、加えて冷間鍛造という何度もプレスを繰り返す製法で作り上げられるため、金属の目が詰まり、独特の光沢をもつようになります。

さらに上をゆくロレックスのステンレスは「904L」

さて、ロレックスの現行モデルに使用されているステンレスは「904L」と呼ばれる高機能ステンレス鋼の一種。
ロレックス社によりますと、904Lスチールは耐蝕性に極めて優れ、宇宙空間や化学産業の分野で用いられているとのこと。他社に先駆けて1985年以降に製造されたスチール製ケース部分はすべてこの素材が使われているようです。先述の316Lよりもさらにクロム含有量が多い904Lスチールの耐蝕性は貴金属に匹敵し、研磨性にも優れており、耐久性のみならず美しい光沢感も生み出すことができるようですね。

本当に904Lが使われているのか成分分析してみよう

当店が所有するOlympusの蛍光X線分析装置を使って、ロレックスのステンレスの成分を実際に簡易検査してみました。

大学や研究機関にあるような高精度のものではなく、また計測できる元素も限られるため、あくまで参考値としてお考えください。

サンプルに使ったのは16234NA(A番 98~99年頃製造モデル) 現在当店で販売中のモデルです。

さて、結果はどうでしょう?

ケース裏面の成分を計測してみますと、ご覧のような結果に。

おおよその成分量しかわかりませんが、鉄(Fe)が50%弱、クロム(Cr)が約20%、ニッケル(Ni)が約25%、モリブデン(Mo)約5%、銅(Cu)とマンガン(Mn)が少々の合金ということがわかりました。

さらにブレスレットの部分を計測しますと、鉄(Fe)が60%以上検出され、またクロム(Cr)の含有量も上記に比べると少ないので、明らかにケースとブレスレット部分は異なるステンレス素材を使用しているようです。

ちなみに現行モデルのステンレス製ブレスレットは「904L」に切り替わっているようですので、また機会があれば計測してみたいと思います。

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